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破壊的イノベータの5つのスキル(③観察力)

「イノベーションのDNA」で破壊的イノベータが共通して持っていることが多いとされる5つのスキルの中の一つである「観察力」と「観察力」を身につけるヒントについて考えてみたいと思います。

①関連づける力
②質問力
③観察力
④ネットワーク力
⑤実験力

■観察力とは?
破壊的なイノベータは優れた観察力を持っています。人は過去の経験から蓄積されたフィルターを通して物事を見ていると言われています。例えば、探しものが目の前にあるのに、目に入らずに探し続けていたという経験はないでしょうか?これは、スコトーマと言われる脳の認識作用の盲点が観察を妨げているためです。我々は、見ているようで実はしっかり見ていないことが多く、優れたアイデア生み出せる人はフィルターを除外して、観察できる能力に優れているのかもしれません。

■観察力を身につけるヒント
観察力を伸ばすために以下のヒントが示されています。

顧客を観察する
一つの目のヒントとして、顧客を注意深く観察ことが勧められています。観察する際の10個の観点として以下が挙げられています。製品・サービス開発の際に役に立ちそうなものもありますので参考としてみてください。また、参考文献(イノベーションのDNA)の中では、特定の企業を観察する際の姿勢として、「人類学者になったつもりで、顧客や潜在顧客を熱心に観察し、製品・サービスのライフサイクルを丸ごと体験するのだ」という面白い表現が使われています。

1. どうすれば顧客にわれわれの製品・サービスの必要性を気が付いてもらえるのか?
2. なぜ、顧客はわれわれの製品・サービスを使用しているのか、どのような用事を片づけようとしているのか?
3. 顧客が製品・サービスを購入する際にどの機能に着目して意思決定しているのか?
4. もっと便利に製品・サービスを購入する方法はないか?
5. われわれの製品・サービスをもっと早く・安く、もしくは別のやり方で開発・製造・提供する方法はないか?
6. 顧客がもっと便利に支払いができる方法はないか?
7. 顧客は何に不満を感じて、われわれの製品・サービスを利用しているのか?
8. われわれの製品・サービスを利用するときに困っていることはないか?
9. 顧客はわれわれの製品・サービスの寿命や信頼性を損なうような使い方をしていないだろうか?
10. 顧客はどのように我々の製品を修理・補修・処分しているのか?

企業を観察する
イノベーティブだと思う会社・新興企業・競合他社から興味がある企業を選定し、選定した企業について、できる限りの情報を収集し、何をどのように行っているのかについて調査します。そのうえで、戦略・業務・製品/サービスについて、以下のような観点から活用できないか考察します。

・多少手を加えれば、自分の会社や産業に転用できそうなアイデアはないか?
・対象企業の戦略・業務・製品・サービス等は自分の仕事や人生にどのような意味を持つか?

琴線に触れたものを観察する
毎日10分間、自分が琴線に触れた何かについて集中して観察し、メモ等で記録をとるようにします。そのうえで、新しい戦略・業務・製品・サービスに活用できるアイデアはないか考察します。

五感をフルに活用して観察する
観察する際には、視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚の5感をフルに活用するようにします。例えば、製品を観察するときに触覚だけに集中してみてそこから味わったアイデアを書き留めることなどが挙げられています。

[参考文献]
クレイトン・クリステンセン. ジェフリー・ダイアー. ハル・グレガーセン(著). 櫻井裕子(訳). (2012). イノベーションのDNA. . 株式会社 翔泳社.