2030年までのAIの動向について(Cインタラクション)
(引用)総務省「人口知能の未来 -ディープラーニングの先にあるもの」(2016,松尾豊)に基づいて作成
上記のロードマップにおける6つのカテゴリーの中のCインタラクションについて「技術面の概要」、「産業化の可能性」、「産業化にあたっての考慮点」について考えてみたいと思います。
■技術面:文脈にあわせた環境認識・行動「優しく触る」技術
このカテゴリーもBロボティクス同様に、認識面と運動面が組み合わさったカテゴリーです。Bロボティクスはある目的のために、ある程度融通性を持ったロボットが作業をするイメージでしたが、Cインタラクションは、さらに相対する人間の感情面やダイナミックに変化する自然環境などにも対応をしてくことを想定されています。例えば、人や動物に対して「優しく触る」といったことをAIができるようになることが期待されています。
■産業化の可能性
・他者理解:表情読み取り技術等による感情を把握
・感情労働の代替:人に対しては「優しく触る」等の行動ができることより、感情を把握した対応が必要な感情労働の代替の可能性(例:介護、看護等)
・医療系:手術ロボ、実験ロボ等
・ペット系:AIBOにさらに状況を観察してとるべき行動を選択する強化学習を付加したペットロボ
・家事系:牛丼や炒飯等の比較的に簡単な料理の調理
・試行錯誤の自動化: 人間が学習するように仕向けずに、自主的に試行錯誤を行うAIロボット
・廃炉系:深海、鉱山、宇宙等を含めた極限環境での作業
■産業化にあたっての考慮点
感情労働系については、表情読み取り技術がブレークスルーのポイントとなってくるのかもしれません。まず、人間の感情を理解できないことには、感情に応じた対応をすることが不可能だからです。人間の快不快等の感情をAIが認識できるようになると、産業化に向けて可能性が開けてくるような気がします。
たとえば、高齢化社会において、どうしても不足してく介護の現場において、他者の感情が理解ができて、優しく触ること等ができるAIのロボットが広がる余地は大きいのではないでしょうか。
また、厳しい環境における作業においては、試行錯誤が自動化されていくことで産業化されていく分野が出てくるように思います。たとえば、廃炉の中の作業においては現状もロボットが入っていますが、人間が入れないような環境において自律的に試行錯誤ができることで作業効率が大きく向上する可能性は十分にありそうです。
この場合には、逆に廃炉内で危険な動きをしないような制御を十分にすることが、同時に重要になってくることはいうまでもありません。
さらに、深海、鉱山、宇宙空間等の人間が入れない環境で自律的に試行錯誤ができるAIロボットがいれば、採掘や深海の資源探索、宇宙空間でのミッションにおいて生産性が高まることが期待できます。
[参考資料]
松尾豊. 人口知能の未来 -ディープラーニングの先にあるもの. 総務省. http://www.soumu.go.jp/main_content/000400435.pdf
清水亮. (2016). よくわかる人工知能. KADOKAWA.
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