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AIに奪われる仕事

参考文献の「AIの衝撃」という書籍に記載されている、今後10~20年以内にコンピュータやロボットに置き換わりそうな仕事と置き換わりそうではない仕事について考えてみたいと思います。元々の出典は「雇用の未来:仕事はコンピュータにどの程度奪われるのか?(The Future of Employment: How Susceptible are Jobs to Computerisation?)」という論文で、リストアップされた各々仕事について機械学習の専門家が10~20年以内になくなりそうな割合を推定した結果をまとめています。

■今後10~20年以内にコンピュータやロボットに「置き換わりそうな」仕事
(パーセンテージは仕事が奪われる確率)

電話による販売員 99%
データ入力 99%
銀行の融資担当者 98%
金融機関などの窓口係 98%
簿記・会計監査 98%
小売店などのレジ係 97%
料理人 96%
給仕 94%
タクシー運転手 89%
理髪業者 80%

■今後10~20年以内にコンピュータやロボットに「置き換わりそうにない」仕事
(パーセンテージは仕事が奪われる確率)

医師 0.4%
小学校などの教師 0.4%
ファッション・デザイナー 2.1%
エレクトロニクス技術者 2.5%
情報通信システム管理者 3.0%
弁護士 3.5%
ライター・作家 3.8%
ソフトウェア開発者 4.2%
数学者 4.7%
旅行ガイド 5.7%

この結果を見たときに10~20年後も残っていそうな仕事というには、以下の二つのどちらか、もしくは両方の特徴を兼ね備えていると言えそうです。これらの能力は、現在のAIブームを牽引している機会学習、ディープラーニングでカバーすることが困難な特徴なのかもしれません。

①高度な創造的が必要な仕事
ファッション・デザイナー、ライター・作家、ソフトウェア開発者、数学者等は高度な創造性を発揮していく必要性があると思います。創造性とは、必ず発想・表現の飛躍が含まれており、且つその飛躍した発想・表現がそれを認識する側の人間の感性を揺さぶるものだと思います。そのため、AIが膨大な過去のデータをいくら分析して、高度な認識能力を身につけても創造性を身につけることには困難が伴うのではないでしょうか。

②高度なコミュニケーションが必要な仕事
また、医師、小学校の教師、情報通信システム管理者、弁護士、旅行ガイド等は非常に高度なコミュニケーションスキルが必要となります。コミュニケーションスキルとは、受け取る側の人間の立場に立って、相手の感情等を考慮して適切な言葉や表現を用いることが必要となります。更に、同じ言葉、表現を使ってもある人間には喜ばれても、ある人間には喜ばれないどころか怒られるというようなことも起こりえます。人間の感情は、年齢、性別、気温が高いのか低いのか、空腹か否か、趣味や好み、国籍、受けてきた教育など膨大な変数があり、且つ瞬間瞬間でダイナミックに変動します。このような、感情を考慮して適切なコミュニケーションをすることは、機械学習やディープラーニングの発展の延長線上にはなく、コンピュータが身に着けることは困難なのかもしれません。

このように、高度な創造性、コミュニケーションが必要となる仕事については、今後10~20年の間にAIに奪われる可能性は低いと言えそうです。

[参考文献]
小林雅一(著). (2015). AIの衝撃. 講談社現代新書.