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PEST(ペスト)分析

■PEST分析とは何か?
企業の戦略は、内部環境と外部環境を分析し、機会・脅威を踏まえて策定していきます。この戦略策定の際の両輪の一つである外部環境を分析する際には、マクロ的な視点とミクロ的な視点があります。ミクロ的な視点としては、市場や競合の分析を行います。PEST分析はマクロ的な外部環境を分析する際の切り口として、マーケティングの大家であるコトラー氏によって提唱されたものです。観点としてPolitics(政治)、Economics(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つがあり、それぞれの頭文字からPEST(ペスト)と呼ばれています。

4つの観点ごとの具体的なポイントは以下の通りです。

Politics(政治的要因)
・法律 / 法改正
・税制 / 税金
・政権
・政治団体 / デモ

Economics(経済的要因)
・景気動向
・物価動向
・GDP
・為替 / 株価

Society(社会的要因)
・人口動態
・老齢人口(高齢化)
・言語
・宗教 / 教育
・流行 / 世論

Technology(技術的要因)
・インフラ(電気 / 水道 / ガス / 通信等)
・IT技術 / AI
・新技術 / イノベーション

■PESTの活用イメージ
電力自由化により、新電力会社が設立され、多くの事業者が参入してきています。この電力事業への新規参入について、PESTの観点で考えてみましょう。

Politics(政治的要因)
・電力自由化を推し進める政策が推進されています。
・具体的には、発電と送電を分離する発送電分離という考え方に従い、発電部分と販売部分で新規参入が可能となってきています。

Economics(経済的要因)
・日本の経済動向としては、経済状況が急激に悪化していくということはありませんが、急激なGDPの成長は見込めない状態です。

Society(社会的要因)
・高齢化が進む中で所得に占める光熱費の割合を少しでも減少させたいという思惑が強くなる可能性があります。
・東日本大震災を契機として、エコな社会を目指すとして、原子力・火力から自然エネルギーを推進するような世論も過去ほどではありませんが存在しています。

Technology(技術的要因)
・スマートメーター等の技術により、電力の需給バランスを考慮した配電が可能になり、事業者間で価格設定などに優劣が出てくる可能性があります。
・利用者がリアルタイムで電力消費量を把握できるようなデバイスが開発されていくことにより、サービスレベルにより敏感になる可能性

PESTの観点で分析を進めることにより、電力自由化による電力事業への新規参入する場合の機会や脅威が明らかになっていきます。例えば、参入事業者にとって、政策により参入機会が増えてきていることは機会でありますが、競合が増加して競争が激しくなるという脅威も見えてきます。

このようにPEST分析をすることによって、企業・事業のマクロ的な外部環境の分析を進めることが可能となります。また、分析した結果として、機会と脅威を明らかにしていき、自社の内部環境を考慮してどのような戦略を立案していくかという検討を進めていくことができます。