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見える化(4つのバリエーション)

■「見える化」とは
「見える化」という言葉は、昔から経営の現場で使われています。企業がある程度の規模に成長し、他の社員へ権限移譲が進んでくると経営者が会社の隅から隅まで全てを把握していくことが困難となります。

そして、経営者や経営幹部が会社の状態をタイムリーに把握することが困難となります。そのため、問題が発生してもそれに対する本質的な真因を分析して、解決策を提示することが難しくなっていきます。

そのため、ある程度の規模の会社の経営者からすると企業活動を見えるようにしてほしいという「見える化」への要望が発生するのは当然のことといえます。

しかし、この「見える化」という言葉、人によってその意味やニュアンスが異なっています。遠藤功氏の著書の「見える化」で紹介されているよく使われる4つのバリエーションを参考にしながら、「見える化」について考えてみたいと思います。

「見える化」の4つのバリエーションとは以下のとおりです。

①見える化
②看える化
③診える化
④観える化

■見える化
企業活動に必要な情報や事実、数値を「見える」ようにすること。見る側の意向に関わらず目に飛び込んでくることを目指したレベルです。当然、経営判断に資するためには、適切な分析、原因の把握が必要なり、このレベルのままでは不十分ですが、事実・数値が集まらないことには次のステップに進むこともできませんので、最低限の状態だということができるのかもしれません。

■視える化
単に事実や数字を把握するだけでなくて、更に「掘り下げてよりよく見ようという」というときには、「視える化」という言葉が使われるようです。数値等を分析しながら事象が起こっている真因を突き止めようとする際のニュアンスです。

そして、この段階にきて、ようやく経営判断に活用できる状態に経営が「視える化」されてきているといえるのかもしれません。

■診える化
「視える化」と似ていますが具体的な問題を特定するために更に「細部を見よう」とすることだそうです。例えば、健康診断をして血液の数値に異常が見られたので、更に腹部エコーを使用してモニターを見ながら診断をしていくというようなイメージです。

「視える化」で問題の特定をして、「診える化」で特定された問題に対する真因を明らかにしていくという関係性があるのかもしれません。個別具体的な問題を掘り下げて、具体的な解決策を立案してく際に必要なアクションです。

■観える化
細部を見ていくこととは逆に、全体を俯瞰して見ようとする際に使われる言葉です。

全体を俯瞰するようなフレームや指標に沿って経営全体を明らかにしていくことが「観える化」といえるのかもしれません。例えば、経営者が月次などで主要なKPIの動向を把握し、経営全体の状態を把握することがこの「観える化」にあたると言えそうです。

■まとめ
以上のように、「見える化」にはバリエーションがあり、使っている人によって意味やニュアンスが異なることが多い言葉です。そのため、「見える化」という言葉使われる際には、どのバリエーションについて議論しようしているのかを整理したうえ検討を開始したほうが実のある話ができるのかもしれません。

[参考文献]
遠藤功(著), (2005). 見える化. 東洋経済.