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コッター教授の組織変革のための8つのプロセス(③ビジョンと戦略を生み出す)

■ビジョンと戦略を生み出す
組織変革のための8つのプロセスの三つ目である「③ビジョンと戦略を生み出す」について考えてみたいと思います。

①危機意識を高める
②変革推進のための連帯チームを築く
③ビジョンと戦略を生み出す
④変革のためのビジョンを周知徹底する
⑤従業員の自発を促す
⑥短期的成果を実現する
⑦成果を生かして、さらなる変革を推進する
⑧新しい方法を企業文化に定着させる

■なぜ、「③ビジョンと戦略を生み出す」ことが必要なのか?
組織変革においては、まず「①危機意識を高める」ことにより、個人個人の意識を変え、変革の必要性を理解させることが必要となります。しかし、このままでは、変革の必要性は理解できましたが、では何をすれば良いのか分からない状態です。次のステップとして、「③ビジョンと戦略を生み出す」ことで、目指すべき方向性と、どうやって進むのかを明確にすることが必要です。
ビジョンは、将来、組織をどのような姿にしたいのか、どのような姿にすべきなのかを明確にすることです。ビジョンにより、組織変革においてすべきことが明確になり、その後の意思決定が実施し易くなります。また、進むべき方向性が明確になることで、社員への指示が行いやすくなり、実行力も上がることが期待できます。加えて、将来の姿に資することない無駄な計画やリソースの発生を排除することが可能になります。
一方で、戦略策定は、内部環境・外部環境を分析・検証し、ビジョンを実現するための具体的な道筋を明確にすることで、組織変革の実現の可能性を高めていきます。

■どのように、「③ビジョンと戦略を生み出す」のか?
良いビジョンを生み出すだめには、以下のような観点が必要になります。
・具体的であること
目指すべき将来の姿は抽象的ではなく、はっきりとした具体像が表現されていることが
必要です
・実現可能であること
戦略の下支えがあることを前提として、実現可能なビジョンでなければいけません
・共感できること
社員が前向きに変革に取り組めるように、また抵抗を少なくできるように共感できる将来の姿である必要があります
・内容を伝えやすいこと
ビジョンは全社員、関係者へ共有され、理解されなくてはならないため、内容を伝えやすくする必要があります
・柔軟であること
外部環境や状況の変化を許容できるように、また、個人の自主行動を許容できるような柔軟性を保持している必要があります

一方で戦略立案に際しては、外部環境と内部環境を分析し、ビジョンへ到達する道筋を示します。外部環境として、市場の大きさや成長性、競合他社の動向等を分析します。内部環境としては自社のリソース、自社製品・サービスの成長性、新規製品・サービスの開発力等を分析します。これらの分析結果からビジョンへ到達するための打ち手や達成に向けたマイルストンを明確にしていきます。

以上が、組織変革の8つのプロセスの中の「③ビジョンと戦略を生み出す」ことの必要性と実施要領となります。

[参考文献]
ジョン・P. コッター(著), 梅津 祐良 (翻訳) (2002). 企業変革力. 日経PB社, P115-142.