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プッシュ戦略とプル戦略

■プル・プッシュとは?
プル・プッシュを非常に大雑把に考えると、(最終)顧客を起点に戦略や計画を考えていくことが「プル」、反対に自社や自社の製造工程を起点に戦略や計画を考えていくことが「プッシュ」ということになります。主として、マーケティング戦略において使用される用語ですが、生産工程においても使用されることがあります。

■マーケティングにおけるプル戦略とプッシュ戦略
まず、マーケティングの観点から考えてみましょう。
プル戦略は消費者に働きかけて、消費者の購買意欲を刺激して、より多く最終製品を購入するように働きかけます。そして、消費者から小売業者、卸売業者を経て最終的に自社の売上増加へと繋げていこうとする戦略です。そのため、プル戦略においては、消費者へ働きかける広告・宣伝が重要になります。

消費者 → 小売業者 → 卸売業者 → … → 自社

他方、プッシュ戦略とは卸売業者や小売業者といった、流通業者への働きかけを行い、自社の売上を上げていこうという戦略です。従って、流通業者の自社製品購入を促すような施策を展開していくことが重要となります。例えば、ディスカウント、リベート等の流通業者向けの施策を打ち立てることが必要となります。

自社 → … →卸売業者 → 小売業者 → 消費者

■生産工程におけるプル・プッシュ
次に生産工程における、プル・プッシュについて考えてみましょう。生産工程におけるプル型とは、顧客を起点として後工程から前工程へと計画策定や予実管理等を行っていくことです。まずは、需要を予測することから始まり、予測された需要に対してどこまで販売していくかという販売計画を立案し、販売計画を達成するために必要な在庫計画や生産計画を立案していくというイメージです。

需要計画 → 販売計画 → 在庫計画 → 生産計画

他方、プッシュ型の生産管理とは、生産側が起点となり、前工程の計画・予実に基づいて、後工程の計画・予実が管理されていきます。

生産計画→在庫計画→販売計画

このように、プル・プッシュは、顧客を起点としているか否かという観点の違いがあります。また、マーケティングと生産工程でも捉え方が若干異なっております。
最後に、感覚論となってしまいますが、ITやAIが発達してくるこれからの時代においては、どちらかというとプッシュという考え方は、マーケティングでも生産工程の観点でもあまり受入られにくくなるのかもしれません。なぜなら、消費者側が情報を入手しやすいため、色々な商品の比較検討が可能となっていることや嗜好性が多様化し生産側の論理が受け入れがたくなっているからです。そのため、如何に消費者側のニーズに対応していくかというプル型の思考がより重要になってくるのかもしれません。