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適材適所に影響する5つのファクター

適材適所に影響する5つのファクター

■適材適所に影響する5つのファクターとは?
人材の適材適所とは、人材を適切に仕事に配属して、組織としてのパフォーマンスを最大化することです。適材適所を実現するためには、従業員一人一人の配属された先での期待収益(パフォーマンス)を最大化することが、大切となってきます。

本間正人氏の著書の「適材適所の法則」において、適材適所に影響する要因として以下の5つがあるとしています。

@習熟効果とマンネリ効果
A抜擢効果と左遷効果
B幅広効果
C適職効果
D希望効果

これらの要因について考えてみたいと思います。

@習熟効果とマンネリ効果
経験曲線という言葉があります。横軸に時間、縦軸に仕事のパフォーマンスを配したグラフに人のパフォーマンスをプロットすると、右肩上がりのS字の曲線になります。つまり、仕事を始めてから時間がたてばたつほど、その仕事に慣れて、学習効果進み、適材適所度が高まるという考え方です。

別の例で考えると、新人に仕事を任せると最初は仕事ができませんが、時間が経つにつれて慣れて仕事ができるようになるという当たり前の事実があります。これらのことが習熟効果と呼ばれています。

それでは、同じ仕事を長く担当させれば良いのかというと、長すぎるとマンネリ化してしまい、逆にパフォーマンスが下がってしまうということも起こってしまいます。

仕事によって、習熟にいたって、そこからマンネリ化してしまう時間の幅は異なります。簡単・単純な仕事ほど、習熟にいたって、マンネリ化してしまう時間は短くなりますし、逆に複雑で難しい仕事ほど、その時間は長くなることが想定されます。

また、覚えが良くすぐに習熟し、すぐに飽きてマンネリ化してしまう人もいれば、じっくりと覚え習熟に達するまでは時間がかかりますが、その後も飽きずにコツコツと続けられる人もいると思います。

京セラ、KDDIの創業者の稲盛和夫氏も、初めから才能がある人よりも、多少鈍くてもコツコツと仕事を続けられる人が最終的に会社を主導するリーダーになることが多いという主旨のことを述べています。

これなどは、習熟効果の発現はゆっくりですが、なかなかマンネリ化せずに長くパフォーマンスを発揮できるタイプの人の例といえるかもしれません。

習熟効果とマンネリ効果を適材適所に応用するためには、仕事の内容や人の能力・性格を見て、マンネリ化を避けつつも習熟効果が最大となる配置を心がけることが必要となってきます。

A抜擢効果と左遷効果
抜擢効果とは、多くの人がやりたいと感じている花形の仕事に抜擢されることにより、モチベーションが高まってパフォーマンスが高まることを意味しています。

他方、左遷効果とは、左遷されてしまったと感じることにより、その落胆などからモチベーションが下がり、パフォーマンスが落ちることを意味しています。

抜擢されたのか、左遷されたかと感じるのは本人の主観による部分も大きく影響します。

そのため、上司が配属にいたるまでの経緯や配属後の期待値などを配属する従業員に適切に伝えることによって、抜擢されたと感じる気持ちを強くもたせることも、逆に左遷されたと感じる気持ちを弱めることもできるのではないでしょうか。

B幅広効果
いろいろなポジションを経験することによって、その人のスキル・経験の幅が広がり、適材適所度が高まる場合あります。

例えば、営業を経験することによって、顧客が求めている製品を理解できるようになり、製品開発業務に役に立つということが起こるかもしれません、

そのため、個人のキャリアパスを考えたときに、不得意な仕事に配属されて、その期間はパフォーマンスが落ちたとしてもそれが後々役に立つこともあるかもしれないということを念頭に入れておくと良いかもしれません。

また、配属する側は、経験させる職務の順番や不得意分野に配属する際のフォローなどについて考慮する必要があります。

C適職効果
天職と呼べるような仕事についている人は、マンネリ化せずにその人の能力を長きに渡り十二分に発揮できます。つまり、高いレベルで適材適所がなされているといえるのだと思います。

このような人の場合には、いろいろな仕事を経験することによるB幅広効果よりも、適職から動かさずに同じ仕事を続けさせることも有効となるかもしれません。

本田総一郎も自分が得意な仕事をやり、不得意なことはその仕事が得意な人に任せれば良いという趣旨のことを言っています。これも適職効果について述べていることなのだと思います。

D希望効果
自分がやりたいと手を挙げた仕事につけることは、抜擢された場合と同じように、その人のモチベーションが高まり、適材適所度が高まります。

そのため、仕事を選択させるということは適材適所を進めるうえで、効果的な戦略となるのかもしれません。

■まとめ
企業の適材適所の理想論を言えば、社員の多くが天職と感じる仕事に着任して、Cの適職効果により、モチベーションもパフォーマンスも最大化されている状態だと言えます。

しかし、全社員が天職について適職効果を発揮できる訳ではないので、@習熟効果とマンネリ効果、A抜擢効果と左遷効果、B幅広効果 等を考慮して試行錯誤しながら適材適所へと近づけていくことが必要なのかもしれません。

また、終身雇用が崩れてきている状態においては、B幅広効果のように一つの企業の中でいろいろな仕事を経験させることにより、個々の従業員にスキル・経験を蓄積することが難しくなります。

このような状況においては、採用の段階から魅力的な仕事を用意して、その仕事に就きたいという人を採用し、D希望効果を高めるというような戦略で適材適所を実現していくことも有効となるのかもしれません。

この場合には、消費者・顧客に訴求する企業の競争力となる仕事が働く側にとっても魅力的であることが求められます。つまり、本当の意味で適材適所を実現しようとすると、企業全体の戦略から見直していく必要があると言えるかもしれません。

[参考文献]
本間正人(著), (2005). 適材適所の法則. PHP.

適材適所に影響する5つのファクター


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