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適材適所の考え方

適材適所の考え方

■適材適所とは?
企業における適材適所とは、正しいポジションに正しい人を配置するということです。適材適所の達人といえば、なんと言っても徳川家康です。日本を統治するために重要な要所に信頼の厚い大名を配置し、徳川家に反感を持つ勢力に睨みを利かせ270年の長きにわたる支配の礎を築きました。

また、現在の日本経済の礎を築いたといわれる渋沢栄一も「論語と算盤」において、適材適所の大切さと徳川家康の適材適所の上手さを感嘆しています。一方、渋沢栄一は徳川一族の繁栄のように我欲のためではなく、広く社会発展のために適材適所を実現したいと述べています。

少しスケールの大きな話になりましたが、ここで考えてみたい適材適所とは、経営者であれば誰でも頭を悩ましていることの一つの企業における適材適所を実現するということです。本間正人氏の著書の「適材適所の法則」に記載されている企業における適材適所の考え方は面白いなと思いましたので、紹介してみたいと思います。

本間氏は、「適材適所とは、個人があるポストにつくことによって得られるべき収益の在籍期間を通じての累計を、全構成員について合計したものを最大化すること」と定義しています。

要するに人を上手に配置して、企業として収益を最大化しましょうということです。また、この適材適所の定義は、以下の四つのモデルで説明することができるとしています。

@3者1所モデル
A2者2所モデル
B1者多所モデル
C多者多所モデル

■3者1所モデル
このモデルは、1つの仕事に複数の候補者がいるような状態です。例えば、Xという仕事があったときに、3名の候補者がおり、それぞれの期待収益(営業売上高等)が以下の通りであったとします。

a: 10
b: 13
c: 8

この場合、誰をXという仕事に任命するでしょうか?これは、非常に簡単で、最も期待収益が高いbさんとなるはずです。

■2者2所モデル
次のモデルとして、仕事がXとYの2つあり、2名の候補者がおり、それぞれの仕事で期待収益が異なっている場合を考えてみてください。

仕事X
a: 13
b: 10

仕事Y
a: 8
b: 1

この場合、仕事Xにはbさんを仕事Yにはaさんを割り当てると期待収益が18となり、高くなります。しかし、このケースにおいて、業績連動で報酬を与えたとするとaさんのパフォーマンスがbさんよりも低くなり、報酬が低くなってしまします。

この状況では、もし、仕事Xを担当していれば、より高いパフォーマンスを上げられたはずであるaさんの不満が大きくなることが予想されないでしょうか。つまり、上司はaさんの不満を理解して適宜フォローすることが必要となります。

このように、2者2所モデルで考えてみると、単純に期待収益の最大化だけを考えるのではなく、仕事の割り振りによる生じる不公平感も考慮した適材適所が必要なります。

■1者多所モデル
このモデルは、1人の人が長期にわたって複数の仕事を経験する場合を想定しています。この場合には、経験する仕事によって、得意不得意があり、期待収益が変わってきます。また、同じ仕事でも、年数を経ることによって、学習効果により期待収益が高まっていくことも考えられます。

このように、個人の適材適所を考えた時に、短期レンジだけでなく、長期レンジで適材適所を考える必要性を示唆しているのが1者多所モデルです。

■多者多所モデル
次の多者多所モデルは、複数の人が複数のポストに配置される通常の企業の適材適所を表しています。多者多所モデルの適材適所は、「個人か組織化か」、「短期か長期か」という軸により、4つのパターンに分けることができます。

(1)個人短期
(2)個人長期
(3)組織短期
(4)組織長期

これらのパターンにおいて、(3)組織短期の期待収益は(1)個人短期の集積です。また、(4)組織長期の期待収益は(2)個人長期の集積です。

このように、組織的な適材適所は、個人の短期や長期の適材適所の積み重ねによって実現されます。つまり、2者2所モデルで発生する配属の不公平感を上司がいかにフォローするか、個人の長期的な期待収益を高めるためにどのようなキャリアパスを用意するか等の個人の適材適所を実現してくことが大切となってくるのです。

■適材適所のまとめ
4つのモデルから考察される適材適所のポイントは以下の3点に集約されそうです。

・個人の短期的な配属
2者2所モデルのように、単純に期待収益だけを追い求めた配属では、不公平感や不満が発生する可能性があります。そのため、配属する上司が個人の期待収益とモチベーションを同時にあげられるようにフォローすることや仕組みを構築していく必要があります。

・個人の長期的な配属
比較的に長期間の勤続が期待される組織においては、個人を短期間だけの期待収益ではなく、長期にわたる学習効果や向き不向きの影響を考慮して、長期の期待収益が最大化されるようにキャリアパスやジョブローテーションを検討する必要があります。

・組織の適材適所は個人の適材適所の集積
個人の短期・長期の配置結果の総和が組織の短期・長期の期待収益を最大化していくことになります。そのため、組織全体の期待収益を最大化するためには、まず個人の短期・長期の期待収益を最大化するための施策を検討することが大切となります。

[参考文献]
渋沢栄一(著), 守屋淳(訳), (2010). 現代語訳 論語と算盤. ちくま書房.
本間正人(著), (2005). 適材適所の法則. PHP.

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