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【M&A】 ストラクチャー

【M&A】 ストラクチャー

■M&Aにおけるストラクチャーとは?
M&Aにおけるストラクチャーとは、M&Aを遂行する手順や手法全体のことを指します。

手順と手法として、以下の3つを考える必要があります。
@統合後の目指すべき事業の運営形態の検討、
A目指すべき事業の運営形態とするためのリスクコントロール、
B実現するための手法

ストラクチャーについては、出来るだけ早期に決めて、決められたストラクチャーで計画的にプロセスを進めることが理想です。

しかし、M&Aは、売り手、買い手だけでなく、対象会社の経営陣・従業員、取引先や金融機関などの多くの利害関係者に影響を与えます。

そのため、事前に決めたストラクチャー通りにプロセスが進むことは稀で、M&Aの目的を踏まえて優先順位をつけながら、都度、手順と手法を工夫していく必要があります。

また、担当者レベルでは、どうしても決められたストラクチャーに通りに事を進めようとする傾向があることは否めませんが、経営層はM&Aは手段であり、ストラクチャーはその手順・手段にすぎないということを常に意識し、目的と手段が逆転しないようにする必要があります。

ここからは、買い手と売り手において、ストラクチャーとして考慮すべき事項について、先の3つの観点から確認をしていきます。

■買い手のストラクチャー検討
@統合後の目指すべき事業の運営形態の検討
・取得対象となる事業
取得対象事業の検討においては、対象会社内のすべての事業を取得対象とするか、一部の特定事業を対象とするかで進め方が異なります。

対象会社の一部の事業のみを取得する場合には、一体として運営されていた事業を切り離すため、共有されていたものが分離されることによる非効率や利害の調整が必要になります。これをスタンドアローン問題といいます。

・事業の統合形態
事業の統合形態を考える時には、取得対象となる事業が同一市場で関連性の高い事業を提供している場合には、仕組み自体が類似していることが多く、最終的には買い手の同一/類似の事業と統合することが効率的です。

一方で、新規事業への参入や川上・川下事業を買収する場合などは、事業の仕組みが異なります。そのため、統合するのでなく、別法人としておくことが多くなります。

・支配のレベル
M&Aでは支配権を取得することを目的としてはいますが、完全に100%支配することが最良とはならないため、案件ごとに支配レベルが異なってくる場合があります。

A目指すべき事業の運営形態とするためのリスクコントロール
コントロールすべきリスクは、大きくコスト面と不確実性面に分類されます。

コスト面のリスクは、税金の支払いが生じる「税務コスト」、株式公開買い付けや株主総会の開催などで発生する「法務コスト」、自社株などではなく現金を必要とする際の「資金コスト」などが挙げられます。

不可実性面のリスクは、事業の将来性に関するリスクだけでなく、訴訟リスク、簿外債務の承継により想定外の損失が生じる「債務継承リスク」、統合後に税務否認されることによる追加の税負担が発生する「税務否認リスク」などが挙げられます。

コスト面にリスクに関しては、定量化出来るため、出来るだけコストが低いストラクチャーとすることでリスク回避をする。一方で、不可実性面のリスクに関しては、把握自体が難しいため、不可実性の範囲を極小化するストラクチャーを選択することが重要になってきます。

B実現するための手法
目指すべき運営形態に向けて、手法を検討します。

手法は大きく、株式の取得と特定事業の取得に大別されます。

株式の取得に関する手法は、「既存株式の取得」、「第三者割当増資の引受」、「株式交換」、「共同株式移転」が挙げられます。一方で、特定事業の取得に関する手法は、「現物出資」、「事業譲渡」、「会社分割」、「合併」が挙げられます。

■売り手のストラクチャー検討
@統合後の目指すべき事業の運営形態の検討
・譲渡対象となる事業
譲渡対象は、売り手の事業戦略上でノンコア事業か否かで判断されます。

また、売り手の場合にも、一部事業を切り離すことにより生じるスタンドアローン問題があり、留意が必要となります。

・投資回収の当事者
譲渡の際、誰が対価を受け取るのかは重要な論点です。法人か個人か、小会社か財産保全会社かなどを決定します。

・譲渡後の支配のレベル
譲渡後の支配レベルにも、「完全切り離し」、「多数切り離し」、「共同事業」の3つの方法があります。

A目指すべき事業の運営形態とするためのリスクコントロール
リスクに関しては、売り手の場合には、不確実性のリスクは存在しません。そのため、コストが最小化されるようなストラクチャーとなるようにすれば良いということになります。

B実現するための手法
手法に関しては、買い手の手法の裏返しとなります。

[参考文献]
北地 達明 (著), 北爪 雅彦 (著), 松下 欣親 (著). (2012). 最新 M&A実務のすべて. 日本実業出版社.

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